山の音
2016年07月16日
Story: 川端康成の同名小説を『おかあさん』で成瀬巳喜男監督と初コンビを組んだ水木洋子が脚色したドラマ。戦後の鎌倉で息子夫婦と同居する尾形信吾と、不実な夫の仕打ちに耐える嫁・菊子の揺れ動く内面を綴る。主演は原節子、上原謙。
六十二という齢のせいか、尾形信吾は夜半、よく目がさめる。鎌倉の谷の奥--満月のしずかな夜など、海の音にも似た深い山の音を聴いて、彼はじぶんの死期を告げられたような寂しさをかんじた。信吾は少年のころ、妻保子のわかく死んだ姉にあこがれて、成らなかった。息子修一にむかえた嫁菊子に、かつての人の面影を見いだした彼が、やさしい舅だったのは当然である。修一は信吾が専務をつとめる会社の社員、結婚生活わずか数年というのに、もう他に女をつくり、家をたびたび開けた…。
製作国:日本 / 製作年:1954年 / 日本劇場公開日:1954年1月15日 / 上映時間:95分